毎日、出勤前に胃が重くなるような職場の人間関係の中にいるなら、まず伝えたいことがあります。期間工だからといって、パワハラを我慢するしかない立場ではありません。 パワハラを防ぐ体制づくりは法律で会社に義務付けられており、相談したことを理由にあなたを不利に扱うことは禁止されています。この記事は、①心身のサインの確認、②相談先の整理、③契約途中の退職の考え方、の順番で、今のつらさを整理できるように書いています。
この記事でわかること:
- 心身のサインが出ているときに最優先すべきこと(即離脱ライン)
- 期間工のパワハラ相談先4つ(職場の窓口・派遣元・総合労働相談コーナー・労基署)の使い分け
- 契約期間の途中でも辞められるかの整理と、満了金の扱い
期間工のパワハラ相談先(まず心身のサインを確認)
相談先の前に、1つだけ先に確認してください。次のサインが出ていたら、相談より先に健康です。
- 眠れない日が続いている。食欲がない
- 出勤前に動悸・吐き気・涙が出る
- 休みの日も職場のことが頭から離れず、何も楽しめない
- 「消えてしまいたい」と思うことがある
1つでも当てはまるなら、まず医療機関(心療内科・かかりつけ医)の受診を考えてください。夜間や休日でも、厚生労働省の相談窓口ポータルこころの耳で、電話・SNS・メールの相談先が見つかります。仕事・契約・満了金の話は、そのあとで整理すれば間に合います。体と心を削りながら守る価値のある契約はありません。
サインがまだ出ていない、または受診と並行して動けるなら、相談先は次の4つです。
| 相談先 | 合う状況 |
|---|---|
| 職場(メーカー)の相談窓口・上司 | 社内で解決したい。配置・ライン変更も相談したい |
| 派遣元(派遣で働いている場合) | 雇用主経由で派遣先に対応してもらいたい |
| 総合労働相談コーナー(労働局・労基署内) | 社内に相談しづらい。外部の意見が欲しい。無料・匿名可 |
| 労働基準監督署 | 暴力・賃金不払いなど法違反が絡む場合 |
どこから始めるか迷ったら、社内の窓口か、外部なら総合労働相談コーナーです。以降で、順番に詳しく説明します。
それはパワハラか(3要素の定義と指導との境目)
「これはパワハラなのか、自分が弱いだけなのか」。この迷いが相談を遅らせます。判断の物差しとして、厚生労働省が示す職場のパワーハラスメントの定義を知ってください。次の3つをすべて満たす言動です。
- 優越的な関係を背景としている(上司・班長だけでなく、集団の同僚なども含み得ます)
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えている
- 働く環境が害されている(苦痛で仕事に支障が出ている)
ポイントは2つ目です。ミスへの指摘や安全のための強い注意など、業務上必要な範囲の指導はパワハラではありません。工場は安全に関わる職場なので、危険な行動への注意が厳しいのは正当です。一方で、次のような言動は範囲を超えたものとして該当し得ます。
- 人格の否定(「頭が悪い」「辞めちまえ」等)、みんなの前での見せしめの叱責
- ミスと関係のない長時間・執拗な叱責の繰り返し
- 無視・仲間外し・仕事を教えない、必要な情報を回さない
- 達成不可能なノルマの強制、逆に仕事を与えない
- 私生活への過度な干渉(寮生活での支配的な言動を含む)
ただし、最終的にパワハラに当たるかどうかは個別の事情で判断されるもので、この記事で断定はできません。大事なのは、「該当するか自信がないから相談しない」を選ばないことです。判断に迷う段階から相談してよいのが、次に説明する窓口です。
会社には相談体制を作る法律上の義務がある
「期間工が相談なんてしていいのか」という遠慮に、法律の事実で答えます。
職場のパワーハラスメント対策は、労働施策総合推進法により事業主の義務です(大企業は2020年6月、中小企業は2022年4月から。2026年7月時点)。会社は、パワハラを防止する方針を示し、相談窓口を設けて適切に対応する体制を整えなければなりません。期間工のような有期契約の従業員も、この保護の対象です。
さらに重要なのが、相談したことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いは、同法で禁止されていることです。「相談したら契約を更新されないのでは」という不安はもっともですが、それをやってはいけないと法律が定めています。万一、相談の後に不利益な扱いを受けたと感じたら、それ自体を総合労働相談コーナーに相談してください。
つまり、構図はこうです。あなたが弱い立場だから我慢するのではなく、会社には対応する義務があり、あなたには相談する権利がある。この前提に立って、4つの相談先を見ていきます。
相談先1: 職場の相談窓口・上司
最初の選択肢は社内です。大手メーカーには、ハラスメントの相談窓口(人事・コンプライアンス部門・外部委託のホットライン等)が設けられています。入社時の書類や職場の掲示、社内ポータルで窓口の連絡先を確認してください。
窓口に抵抗があれば、直属の上司や、加害者より上の立場の人、工程の責任者に相談する形でも構いません。現実的な解決として、ラインや工程の変更、配置換えで物理的に距離を取れることは、工場という職場の利点です。人間関係を「修復」しなくても、接点をなくせば解決することは多くあります。
社内相談のコツは、感情ではなく事実を伝えることです。「いつ・どこで・誰に・何をされたか、業務にどう支障が出ているか」を時系列で伝え、「配置の変更を検討してほしい」など、望む対応まで言えると動いてもらいやすくなります。
相談先2: 派遣で働いている場合は派遣元
工場に「派遣」として入っている人は、雇用主は工場の会社ではなく派遣会社です。この場合の相談先は、まず派遣元の担当者・相談窓口です。派遣元・派遣先の双方にパワハラ防止の措置義務があり、派遣元はあなたの雇用主として、派遣先との調整や職場の変更を含めた対応をする立場にあります。
自分が期間工(メーカー直接雇用)なのか派遣なのかは、雇用契約書の「雇用主」欄で確認できます。雇用形態ごとの違いは工場派遣と期間工の比較記事で整理しています。派遣元に相談しても動いてくれない場合は、次の総合労働相談コーナーへ進んでください。